板バネの形状について
板バネの形状は、対象物へテンション(押える)をかける為の形状、パイプなどを固定する形状、対象物の脱着を行為の、爪形の形状など、用途に合わせて材質・板厚とともにさまざまです。また、板バネは、対象物に対して、材料強度(曲げ加工時に生じる折れ)の限界までは、自由な材質・サイズ・形状に製作することが可能です。ここでは、形状をざっくり3種類に分けてご紹介をします。
板バネは、材質のバネ性を利用して押さえる・挟むなど単純な機能ですが、製作には押える力や耐久性の検証が課題となります。こだま製作所では、金型レス・簡易金型製作で板バネを製作することにより、試作品から対応し開発段階からお手伝いしております。
板バネの種類
基本的には、押さえる・挟む板バネが多いですが、導電性を加えてスイッチとして使用されます。こだま製作所では、主に指先サイズ〜手の先サイズくらいをメインに製作しています。
押さえる板バネ
試作・少量製作に特化した曲げ加工で試作に掛かる初期費...
挟む板バネ
導電性のある板バネ
筒形状+曲げ加工の微細電気接点 Φ6ほどのカール曲げ...
ベリリウムと真鍮の異種金属の接点製作を行いました。
板バネの設計について
板バネは、机上で設計できればいいのですが、(コイルばねなら、机上設計が可能なのですが)計算式に基づいて設計を行っても、固定する箇所、負荷方向などで誤差が大きく出てしまいます。ですので、製作までの近道は試作をおこなうことです。
参考資料は、こちらから
お問合せ方法
板バネが必要になった場合、形状のイメージは、意外と出てくるものですので、当サイトでは、製作事例を参考にしていただき、図面、CADデーター(2次元)化を行って、詳細情報と製作数の記載(お問い合わせフォーム記入可)を行っていただき、お問合せフォームから送信ください。
板バネの試作について
「こだま」では、板バネの試作・少量製作(2000個まで)において、金型レス・簡易金型で対応していますので、製作における、金型費の軽減(ゼロ円~金型費の1/10)、短納期のご提供を行っています。金型レス・簡易金型製作は、試作確認後の板厚・材質・形状変更等が、容易に行うことが出来ます。
板バネの材質について
材質としては、一般的に鉄系・ステンレス系・銅系の3種類ですが、
特殊環境(耐塩・耐熱等)で使用する場合、チタン、インコネルのバネ材も使用します。
バネ特性も様々ですので、板バネの材質については、下記資料をご参考にしてください。
1)バネ(ばね)用ステンレス鋼帯(SUS-CSP)
ステンレス系の薄板・板金パーツや、ステンレス系板バネにはSUS304-CSPが最もよく利用されていますが、板バネにはバネ特性の低い順に1/2H,3/4H,Hと一般的には、3段階で、用途に応じて使用されています。
シムに使用する材料としてもSUS304-CSPが一般的で、2B材に対し材料費はある程度高くなりますが、板厚精度が高いことから、ご指定の無い場合弊社ではCSP材を使用しています。
また、SUS304 CSPよりさらに高いバネ特を要する板バネには、SUS301 CSPを使用しています。
SUS301もSUS304と同じくバネ特性は一般的に3段階で用途に応じて利用されています。
▼表1、SUSバネ材標準板厚表(メーカーの自主基準であり、流通で一般入手できない板厚もあります)
SUSバネ材の標準板厚(JIS G 4313) |
材質 |
SUS301-CSP・SUS304-CSP・SUS420J2-CSP・SUS631-CSP・SUS631J1-CSP |
板厚 mm |
0.10、0.12、0.15、0.20、0.25、0.28、0.30、0.35、0.40、0.45、0.50、0.55、0.6、・0.70、0.80、0.90、1.00、1.20、1.40、1.50 |
▼表2、JIS G 4313 バネ用ステンレス鋼帯の板厚寸法公差表
SUSバネ材板厚公差(JIS G 4313の厚さの許容差)単位mm |
SUS301-CSP・SUS304-CSP・SUS420J2-CSP・SUS631-CSP・SUS631J1-CSP |
板厚 mm |
材料幅(250以上600未満) |
0.10以上 0.16未満 |
±0.020 |
0.16以上 0.25未満 |
±0.030 |
0.25以上 0.40未満 |
±0.035 |
0.40以上 0.60未満 |
±0.040 |
0.60以上 0.80未満 |
±0.045 |
0.80以上 1.00未満 |
±0.050 |
1.00以上 1.25未満 |
±0.050 |
1.25以上 1.60以下 |
±0.060 |
▼表3、バネ用ステンレス鋼帯の性質
種類の記号 |
調質記号 |
硬度(Hv) |
引張強さ(N/㎜2) |
伸び(%) |
SUS301CSP |
1/2H |
310以上 |
930以上 |
10%以上 |
3/4H |
370以上 |
1130以上 |
5%以上 |
H |
430以上 |
1320以上 |
- |
EH |
490以上 |
1570以上 |
- |
SUS304CSP |
1/2H |
250以上 |
780以上 |
6%以上 |
3/4H |
310以上 |
930以上 |
3%以上 |
H |
370以上 |
1130以上 |
- |
NSS431 DP-2 |
- |
340~400 |
1200(参考値) |
9%(参考値) |
SUS420J2 |
0 |
210以下 |
- |
- |
析出硬化系 |
熱処理後硬さ(Hv) |
NSSHT1770 |
- |
280以上 |
- |
450以上 |
SUS631CSP |
0 |
200以下 |
1030以下 |
345以上 |
1/2H |
350以上 |
1080以上 |
380以上 |
3/4H |
400以上 |
1180以上 |
450以上 |
H |
450以上 |
1420以上 |
530以上 |
2)バネ(ばね)冷間圧延鋼帯<SK材と熱処理材(焼き入れリボン鋼)>
鉄系板バネとしてはSUP材となりますが、薄板バネ材としては入手困難な板厚もありますので、弊社ではお客様ご承諾の上、類似材として曲げ成形の多い板バネにはSK材(生材)を使用し、成形後焼き入れ焼き戻しの処理を行い、主に平板の形状カットのみの板バネには焼き入れリボ鋼をよく使用しています。
Sk材とはバネ用炭素鋼帯の一種で、焼入れリボン鋼とはバネ用炭素鋼帯に熱処理(焼入れ焼戻し)を施して製造される焼入鋼帯で、主に薄板バネや、ゼンマイバネ、刃物に使用されています。
▼表3、バネ(ばね)用冷間圧延鋼帯の標準板厚表
(メーカーの自主基準であり、流通で一般入手できない板厚もあります)
磨き焼き入れリボン鋼の標準板厚 |
材質 |
ばね用冷間圧延鋼帯(SK材)を焼き入れしたもの |
板厚mm |
0.10、0.13、0.15、0.18、0.20、0.23、0.25、0.28、0.30、0.33、0.35、0.40、0.45、0.50、0.6、0.70、0.80、0.90、1.00、1.20、1.40、1.50、1.6、2.0、2.5、3.0 |
▼表4、JIS G 3311バネ(ばね)用冷間圧延鋼帯板厚寸法公差表
SK4,SK5 |
板厚mm |
材料幅200mm以上 |
材料幅200mm以上500mm未満 |
0.10未満 |
±0.012 |
- |
0.10以上 0.15未満 |
±0.015 |
- |
0.15以上 0.25未満 |
±0.020 |
±0.025 |
0.25以上 0.40未満 |
±0.025 |
±0.035 |
0.40以上 0.60未満 |
±0.035 |
±0.040 |
0.60以上 0.90未満 |
±0.045 |
±0.055 |
0.90以上 1.20未満 |
±0.055 |
±0.070 |
1.20以上 1.60未満 |
±0.070 |
±0.080 |
1.60以上 2.10未満 |
±0.075 |
±0.090 |
2.10以上 3.00未満 |
±0.080 |
±0.090 |
▼表5、バネ(ばね)用冷間圧延鋼帯の調質と硬さ(HV)
種類の記号 |
焼きなましをしたもの |
冷間圧延をしたもの |
焼き入れ焼き戻しをしたもの |
SK5-CSP |
190以下 |
230~270 |
350~500 |
SK4-CSP |
200以下 |
230~270 |
400~600 |
3)銅・銅合金・銅合金バネ材
1.りん青銅・バネ用リン青銅板(C5191P・C5210P等)
市場の通電性重視の製品にはC5191がよく利用されていますが、バネ性を要する接点・端子・板バネ製等にはC5210が利用されています。
2.ベリリウム銅板(C1720P等)
リン青銅バネ材より高性能なバネ特性を必要とする場合C1720P(バネ用ベリリウム銅)がよく利用されています。
用途としては用途としては、携帯電話部品を始め、ブラシ、コネクタ、接点、電気機器用薄板バネ部品などによく用いられます。
3.洋白(C7521,C7701)
洋白(C7521)は耐食性に富みシールドケースなどに利用され、優れた強度とバネ特性(C7701)から電気機器材料として用いられています。また銀白色の美しさから装飾用等にも広く用いられています。
▼表6―1.2.3.4、銅・銅合金・銅合金板バネ標準板厚表
(メーカーの自主基準であり、流通で一般入手できない板厚もあります。)
バネ用ベリリウム銅,リン青銅、及び洋白の標準板厚 |
材質 |
C1720、C1700、C7701,C7521,C5210,C5191 |
板厚 mm |
0.1、 0.15、 0.2、 0.25、 0.3、0.35、 0.4、 0.45、 0.5、 0.6、 0.7、 0.8、1.0、 1.2、 1.4、 1.5、 1.6、 1.8、 2.0 |
真鍮 |
材質 |
C2801 |
板厚 mm |
0.1、0.2、0.25、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、1、1.2、1.4、1.5、1.6、2、2.3、2.5、2.6、3、3.2、3.5、4、5、6、8、10 |
タフピッチ銅 |
材質 |
C1100 |
板厚 mm |
0.1、 0.15、 0.2、 0.25、 0.3、0.4、 0.45、 0.5、 0.6、 0.7、 0.8、1.0、 1.2、 1.4、 1.5、 1.6、 1.8、 2.0 |
無酸素銅 |
材質 |
C1020 |
板厚mm |
0.3、 0.4、 0.5、 0.6、 0.8、1.0、 1.2、1.5、 1.6、2.0 |
▼表7 ばね用ベリリウム銅,リン青銅、及び洋白の板厚寸法公差表
板厚mm |
材料幅200以下 C1700,C1720 |
材料幅400以下 C5210,C7701 |
0.05以上 0.08以下 |
±0.005 |
0.08を越え 0.15以下 |
±0.008 |
0.15を越え 0.25以下 |
±0.013 |
0.25を越え 0.4以下 |
±0.018 |
0.4を越え 0.55以下 |
±0.020 |
0.55を越え 0.7以下 |
±0.025 |
0.7を越え 0.9以下 |
±0.030 |
0.9を越え 1.2以下 |
±0.035 |
1.2を越え 1.5以下 |
±0.045 |
1.5を越え 2以下 |
±0.050 |
▼表8、ばね用ベリリウム銅,リン青銅、及び洋白の性質
種類の記号 |
調質記号 |
硬度(Hv) |
引張強さ (N/㎜2) |
伸び(%) |
C5191(りん青銅2種) |
1/2H |
150~205 |
490~610 |
20%以上 |
H |
180~230 |
590以上 |
8%以上 |
C5210(バネ用りん青銅) |
1/2H |
140~205 |
470~610 |
27%以上 |
H |
185~235 |
590以上 |
20%以上 |
C7521(洋白2種) |
1/2H |
120~180 |
440~570 |
5%以上 |
H |
150~210 |
540~640 |
3%以上 |
C7701(バネ用洋白) |
1/2H |
150~210 |
540~655 |
8%以上 |
H |
180~240 |
630~735 |
4%以上 |
C1700(ベリリューム銅) 時効効果処理後 |
1/4H |
330~410 |
1100以上 |
2%以上 |
H |
360~430 |
1230以上 |
- |
C1720(ベリリューム銅) 時効効果処理後 |
1/2H |
345~430 |
1180以上 |
2%以上 |
H |
380~450 |
1270以上 |
- |