「こだま」では、様々なシムプレートの製作を行っていますが、まず、シムプレートについて説明したいと思います。SHIM(シム):詰め木→モノを水平にしたり、隙間などに入れるモノと称されますが、工業製品としては、産業機器・装置、モーターベース、金型、ベアリング調整等水平バランスを取るために各種部品の間に、設置されますので、その形状は様々です。素材は、ステンレスを主流に、焼入れリボン鋼などが使用されていて、導電性が必要な箇所には、銅、リン青銅、ベリリュウム銅、真鍮等が使用されています。
「こだま」ではt0.005~の薄板シムプレート製作が可能なのが特徴で、さまざまな材質に対応できます。
形状は、加工上不可な部分も生じますが、ほとんどが自由形状可能で、材料は、金属であれば高耐熱材、高耐食材など大半の材質において対応可能です。
製作枚数 | 1枚から数千枚まで |
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主な板厚 | t0.005 ~ t0.5 SUS304 H t0.1~t0.2は0.01mm刻みで材料在庫有り。 高精度な板厚公差±3μが必要な場合は、材料入手に時間がかかる場合がありますので、事前にお知らせください。 |
材質 | さまざまな材質に対応。材質一覧は、こちらから |
加工サイズ | φ0.4~300×800mm ※市販材サイズにより、シムプレートのサイズには限界は生じますが、分割対応は可能です。 |
製作期間 | 最短翌日発送(特別価格となります) ※サイズ200×300以内 |
糸面取り不要 | 極薄のシムライナーにも対応できる、高精度なカット技術ですので、バリやカエリはほぼ無く、ほとんどの場面で糸面取り不要で使用頂けます。 |
刻印 | t0.03からのシムプレート(金属箔)への刻印加工が可能(板厚、ロット番号等の印字) |
※刻印の詳細は、こちらから
シムプレートt0.005~(SUS304仕様)の箔加工から、スペーサーt5.0を±0.02の高精度品からラフな寸法対応(安価)まで、ご要望に合わせた対応を行っております。
極薄のシムプレートにも対応できる、高精度なカット技術ですので、バリやカエリはほぼ無く、ほとんどの場面で糸面取り不要で使用頂けます。
板厚や形状によって、加工による歪みが出る場合があります。精密な機械等のシムプレートとして使用する場合は、この歪みが悪影響を及ぼすため加工による歪みをほぼゼロで加工しています。ただし、箔材になると材料自体に反りがあったりもします。加工による歪みでは無いので、箔材は使用の際に押さえると平らには戻ります。
また、枚数に応じて加工方法を変えることによりベストプライスでのシムプレート加工が可能となります。
シムプレート製作における短納期・高精度詳細は、こちらから
t0.05~対応可能(熱歪による限界値)で、製作コスト的に量産には不向きです。
t0.02~対応可能で、材料を重ねて形状カットを行うことが
出来るので、同一形状・板厚違いのシムプレート製作が可能です。
t0.005~対応可能(材料そのものの凸凹は生じています)で、箔材料の加工や少量〜中量の量産に適しています。
t0.3~対応可能で、金型の初期費用は生じますが、量産用(1000枚~)として、
製品単価を安価にすることが可能です。
使用用途によって、材料硬度等細かく区分されていますので、各種材質の詳細を表示しています。
シムプレートに使用する材料としてもSUS304の冷間圧延材が一般的で、2B材に対し材料費はある程度高くなりますが、板厚精度・硬度が高いSUS304-CSP(CSP材)が最もよく利用されています。
また、SUS304 CSPよりさらに高い硬度を要するシムプレートには、SUS301やSUS631を使用し、耐食性を求めるときにはステンレスでは、SUS316が使用されます。
SUSバネ材の標準板厚(JIS G 4313) | |
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材質 | SUS301-CSP・SUS304-CSP・SUS430-CSP・SUS631-CSP・SUS316(L)-CSP |
板厚 mm | 0.005、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.10、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、0.20、0.25、0.30、0.35、0.40、0.45、0.50、0.60、0.70、0.80、0.90、1.00、1.20、1.50 |
*材質によっては、無い板厚もあります。
SUSバネ材板厚公差(JIS G 4313の厚さの許容差)単位mm | |
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SUS301-CSP・SUS304-CSP・SUS420J2-CSP・SUS631-CSP・SUS631J1-CSP | |
板厚 mm | 材料幅(250以上600未満) |
0.10以上 0.16未満 | ±0.020 |
0.16以上 0.25未満 | ±0.030 |
0.25以上 0.40未満 | ±0.035 |
0.40以上 0.60未満 | ±0.040 |
0.60以上 0.80未満 | ±0.045 |
0.80以上 1.00未満 | ±0.050 |
1.00以上 1.25未満 | ±0.050 |
1.25以上 1.60以下 | ±0.060 |
種類の記号 | 調質記号 | 硬度(Hv) | 引張強さ(N/㎜2) | 伸び(%) |
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SUS301CSP | 1/2H | 310以上 | 930以上 | 10%以上 |
3/4H | 370以上 | 1130以上 | 5%以上 | |
H | 430以上 | 1320以上 | - | |
EH | 490以上 | 1570以上 | - | |
SUS304CSP | 1/2H | 250以上 | 780以上 | 6%以上 |
3/4H | 310以上 | 930以上 | 3%以上 | |
H | 370以上 | 1130以上 | - | |
NSS431 DP-2 | - | 340~400 | 1200(参考値) | 9%(参考値) |
SUS420J2 | 0 | 210以下 | - | - |
析出硬化系 | 熱処理後硬さ(Hv) | |||
NSSHT1770 | - | 280以上 | - | 450以上 |
SUS631CSP | 0 | 200以下 | 1030以下 | 345以上 |
1/2H | 350以上 | 1080以上 | 380以上 | |
3/4H | 400以上 | 1180以上 | 450以上 | |
H | 450以上 | 1420以上 | 530以上 |
鉄系シムプレートとしてはSUP材を使用する場合がありますが、薄い板厚ですと入手が困難な場合もあるため、弊社ではお客様のご承諾の上、類似材としてSK材(生材)を用いることがあります。SK材は曲げなどの成形加工を行った後に焼き入れ焼き戻しを施すことで、必要な硬度や強度を確保できます。また、主に平板の形状カットのみで使用するシムプレートについては、あらかじめ熱処理(焼入れ焼戻し)が施されている焼入れリボン鋼を用いることが多くあります。
SK材とは、もともとバネ用炭素鋼帯の一種であり、焼入れリボン鋼はバネ用炭素鋼帯を熱処理(焼入れ焼戻し)して製造される焼入鋼帯です。これらは主に薄板バネやゼンマイバネ、刃物などにも使用されますが、強度・弾性・薄さが求められるシムプレート材としても適しています。
詳しくはこちらから
1. SK85(旧: SK5)
炭素工具鋼の一種で、SUP材の代用として使用されることがあります。熱処理を施すことで硬度を高めることができます。
2. SUP
バネ鋼鋼材ですが、一般的にt3.0mm以上の厚みの材料しか流通していないため、t3.0mm未満のシムプレートではSK材に置き換えて対応しています。
磨き焼き入れリボン鋼の標準板厚 | |
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材質 | ばね用冷間圧延鋼帯(SK材)を焼き入れしたもの |
板厚mm | 0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.10、0.13、0.15、0.18、0.20、0.23、0.25、0.28、0.30、0.33、0.35、0.40、0.45、0.50、0.60、0.70、0.80、0.90、1.00、1.20、1.40、1.50、1.6、2.0、2.5、3.0 |
SK4、SK5 | ||
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板厚mm | 材料幅200mm以上 | 材料幅200mm以上500mm未満 |
0.10未満 | ±0.012 | - |
0.10以上 0.15未満 | ±0.015 | - |
0.15以上 0.25未満 | ±0.020 | ±0.025 |
0.25以上 0.40未満 | ±0.025 | ±0.035 |
0.40以上 0.60未満 | ±0.035 | ±0.040 |
0.60以上 0.90未満 | ±0.045 | ±0.055 |
0.90以上 1.20未満 | ±0.055 | ±0.070 |
1.20以上 1.60未満 | ±0.070 | ±0.080 |
1.60以上 2.10未満 | ±0.075 | ±0.090 |
2.10以上 3.00未満 | ±0.080 | ±0.090 |
種類の記号 | 焼きなましをしたもの | 冷間圧延をしたもの | 焼き入れ焼き戻しをしたもの |
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SK5 | 190以下 | 230~270 | 350~500 |
SK4 | 200以下 | 230~270 | 400~600 |
シムプレートの材料としてはステンレスや鋼が多く使用されていますが、ステンレスでは硬すぎる場合やガスケット用には銅系の材料が使用されます。
詳しくはこちらから
バネ用ベリリウム銅、リン青銅、及び洋白の標準板厚 | |
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材質 | C1720、C1700、C7701,C7521,C5210,C5191 |
板厚 mm | 0.1、 0.15、 0.2、 0.25、 0.3、0.35、 0.4、 0.45、 0.5、 0.6、 0.7、 0.8、1.0、 1.2、 1.4、 1.5、 1.6、 1.8、 2.0 |
真鍮 | |
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材質 | C2801 |
板厚 mm | 0.1、0.2、0.25、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、1、1.2、1.4、1.5、1.6、2、2.3、2.5、2.6、3、3.2、3.5、4、5、6、8、10 |
タフピッチ銅 | |
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材質 | C1100 |
板厚 mm | 0.1、 0.15、 0.2、 0.25、 0.3、0.4、 0.45、 0.5、 0.6、 0.7、 0.8、1.0、 1.2、 1.4、 1.5、 1.6、 1.8、 2.0 |
無酸素銅 | |
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材質 | C1020 |
板厚 mm | 0.3、 0.4、 0.5、 0.6、 0.8、1.0、 1.2、1.5、 1.6、2.0 |
板厚mm | 材料幅200以下(C1700、C1720) | 材料幅400以下(C5210、C7701) |
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0.05以上 0.08以下 | ±0.005 | |
0.08を越え 0.15以下 | ±0.008 | |
0.15を越え 0.25以下 | ±0.013 | |
0.25を越え 0.4以下 | ±0.018 | |
0.4を越え 0.55以下 | ±0.020 | |
0.55を越え 0.7以下 | ±0.025 | |
0.7を越え 0.9以下 | ±0.030 | |
0.9を越え 1.2以下 | ±0.035 | |
1.2を越え 1.5以下 | ±0.045 | |
1.5を越え 2以下 | ±0.050 |
種類の記号 | 調質記号 | 硬度(Hv) | 引張強さ(N/㎜2) | 伸び(%) |
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C5191(りん青銅2種) | 1/2H | 150~205 | 490~610 | 20%以上 |
H | 180~230 | 590以上 | 8%以上 | |
C5210(バネ用りん青銅) | 1/2H | 140~205 | 470~610 | 27%以上 |
H | 185~235 | 590以上 | 20%以上 | |
C7521(洋白2種) | 1/2H | 120~180 | 440~570 | 5%以上 |
H | 150~210 | 540~640 | 3%以上 | |
C7701(バネ用洋白) | 1/2H | 150~210 | 540~655 | 8%以上 |
H | 180~240 | 630~735 | 4%以上 | |
C1700(ベリリューム銅) 時効効果処理後 |
1/4H | 330~410 | 1100以上 | 2%以上 |
H | 360~430 | 1230以上 | - | |
C1720(ベリリューム銅) 時効効果処理後 |
1/2H | 345~430 | 1180以上 | 2%以上 |
H | 380~450 | 1270以上 |
- |
記号 | 定義 | 用途 |
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O | 焼きなましを行ったもので、冷間加工性がゼロのもので、深い絞り加工や冷間鍛造を適しているが、引っ張り強さの値が最も低い | ダイヤフラム、ベロー等 |
1/8H | 引っ張り強さがOと1/4Hの中間として、加工硬化したもの | ー |
1/4H | 引っ張り強さが1/8Hと1/2Hの中間として、加工硬化したもので絞り加工に適している | ヒューズクリップ等 |
1/2H | 引っ張り強さが1/4Hと3/4Hの中間として、加工硬化したもの打ち抜き性がよく曲げ加工が必要で、ある程度材料強度が必要なもの適している | ヒューズクリップ、リードフレーム、コネクター、リード端子等 |
3/4H | 引っ張り強さが1/2HとHの中間として、加工硬化したもの | H材では、曲げ加工困難な場合に使用 |
H | 引っ張り強さが3/4HとEHの中間として、加工硬化したもの | ヒューズクリップ、リードフレーム、コネクター、リード端子、スイッチ |
EH | 引っ張り強さがHとSHの中間として、加工硬化したもの | スイッチ、リレー、皿バネ、ブレード等 |
SH | 引っ張り強さが最大になるように熱処理を行ったもの | リレー等 |
H:ハードの略、EH:エクストラハード、SH:スーパーハード
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