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「板バネの特徴・種類・用途を製作現場から徹底解説」

薄板・微細・精密金属加工のこだま製作所の「事例紹介」です

板バネ(リーフスプリング)は、薄い板状の素材に弾性を持たせた部品であり、高い強度と弾性を両立する材料を使用することで、さまざまな分野の機器や製品に活用されています。
一般的に自動車のサスペンションや防振用途として知られていますが、ここではそれらを除いて、産業用設備、精密機器などで使用される板バネにフォーカスし、その種類・形状・材質・製作方法を解説します。

板バネとは?

板バネは、1枚または複数枚の薄い鋼板を用いて、弾性によるスプリング作用を実現した部品です。弾力が必要な機構や部位に組み込まれ、圧力や衝撃を受けても復元力を発揮し、元の形状に戻る特性があります。
コイルスプリングなどの他のばねと比較して、

  • 形状や厚みを調整しやすい
  • 薄型で軽量化しやすい
  • 限られたスペースに搭載しやすい

といった利点があるため、産業機械や精密機器など幅広い分野で活用されています。

板バネの種類

用途や構造によって板バネには様々な種類があり、設計上の名称や商品名等、標準化されていません。ここでは、車両サスペンションや防振を除いた用途で多用される種類を現場目線で紹介します。

1. 薄板バネ

1枚の薄板を成形したバネで、特定方向に変位させたい時に用いられます。
特徴: シンプルな形状で設計しやすく、軽量・省スペースです。
用途: 計測器の試験台のバネ要素、カメラのシャッター部品、リミットスイッチの押し子、クリップ類など

薄板バネ

薄板バネ参考写真2

薄板バネ参考写真3

薄板バネ参考写真4

2. 平板バネ

一方の端を固定し、他方をフリーにする構造の板バネです。
特徴: 一方向への荷重や変位をコントロールしやすい設計が可能です。
用途: 計測器のひずみゲージ、ドアロック機構の押し込み部品など

平板バネ参考写真1

平板バネ参考写真2

平板バネ参考写真3

平板バネ参考写真4

3. フィンガースプリング(コンタクトスプリング)

薄い板に複数の突起や指状のカットを設けたバネです。
特徴: 接触圧や導通性を確保しながら弾性を活かして押さえる構造が可能です。
用途: 電子機器のコネクタ、基板接点、シールド部材など

フィンガースプリング参考写真1

フィンガースプリング参考写真2

フィンガースプリング参考写真3

フィンガースプリング参考写真4

4. 渦巻き状板バネ(渦巻きバネ)

薄い板を渦巻き状に巻いて作るバネで、ゼンマイとも呼ばれる形状です。
特徴: コイルバネよりも横幅が薄く、限られたスペースで大きな変位量を得られます。
用途: 巻き取り式メジャーやゼンマイ式玩具、アナログ式時計など

上記の他にも、皿バネウェーブワッシャー竹の子バネなどもあります。

板バネの材質

板バネには、強度と弾性限度を確保できる材料が求められます。ここでは、主に産業や精密用途で使われる代表的な材質を紹介します。

バネ鋼(炭素鋼系)

代表的な鋼種: SK5、SK7、SUP系の薄板など
メリット: 加工性が良く、コストパフォーマンスも優れています。
用途: 一般産業機器やクリップ、工具部品など

ステンレス鋼(SUS-CSP)

代表的な鋼種: SUS301-CSP、SUS304-CSP など
メリット: 耐食性に優れ、食品加工や医療機器向けにも適しています。
用途: 洗浄設備の固定ばね、医療用具部品、電子機器のコネクタなど

リン青銅・ベリリウム銅

特徴: 電気伝導性に優れ、耐疲労性も高いのが特長です。
用途: コネクタの接点、導通スプリング、精密接点など
注意点: ベリリウム銅は加工時に粉塵対策が必要です。

樹脂・複合材料

特徴: 軽量で耐腐食性が高く、形状自由度も大きいです。
用途: 軽負荷用の小型ばね部品、カバーパーツの弾性機構など
注意点: 金属ほどの弾性限度や耐疲労性を得るのは難しい場合があります。

板バネの製作方法

板バネの製作は、用途に合わせた材料選定から始まり、 切断・成形加工・熱処理・表面仕上げといった一連の工程を踏んで行われます。 ここでは、産業・精密用途の板バネを中心に一般的な製作プロセスを紹介します。

1. 素材の選定・切断

板バネの形状カット方法

  • 要求される板厚や幅、強度に応じてスプリング鋼やステンレス鋼を選定
  • シート材やコイル材からプレス機やレーザーカッターで所定形状に切断

2. 成形加工

板バネの成形写真

  • プレスやベンディング加工で図面通りに曲げ加工
  • 曲げRや加工順を最適化し、割れや変形を防止

3. 熱処理(焼入れ・焼戻し)

板バネの熱処理

  • スプリング鋼などは焼入れ・焼戻しを行い、適切な硬度と弾性を付与
  • ステンレス鋼(SUS-CSP)は、調質済み素材を使用する場合が多い

4. 表面仕上げ・処理

表面処理の事例写真

  • バリ取りや研磨で表面の傷や応力集中を防ぐ
  • 耐食性や外観改善のためのコーティングや電解研磨を行う場合も

5. 検査・組み立て

  • バネ定数や変位量、外観などを検査し、要求仕様との整合をチェック
  • 他部品との組み立てを行い、装置や機器に実装

【ポイント】板バネを選定する際の注意点

車両や防振用途以外でも、板バネを選定する際には共通して考慮すべきポイントがあります。

  1. 使用環境
    温度、湿度、薬品・水分への暴露などを確認し、ステンレス系や樹脂系など適切な素材を選びます。
  2. 必要な弾性特性(バネ定数)
    荷重と変位量の条件を明確にし、計算やシミュレーションを行って最適化します。
  3. 寸法精度や組立方法
    曲げ半径や穴位置などの公差管理を適切に設定し、周辺部品との干渉や取り付け方法を検討します。
  4. 熱処理や表面処理の必要性
    耐久性やバネ特性の向上を目的にショットピーニングやコーティングを検討します。

まとめ

板バネは産業用機器、精密機器、日用品などで幅広く利用されるばね要素です。車両サスペンションや防振用途を除いても、様々な場面で下記のような特徴が活かされています。

  • 種類: シングルリーフ、片持ち、渦巻き、フィンガースプリングなど多様
  • 材質: スプリング鋼、ステンレス鋼、リン青銅・ベリリウム銅、樹脂系など
  • 製造工程: 材料選定 → 成形加工 → 熱処理 → 表面処理 → 検査
  • 設計上の注意点: 使用環境、必要弾性、寸法精度、熱処理の有無などを総合的に検討

設計や製品開発において板バネを採用する場合は、求める特性や使用条件をしっかりと整理し、最適な材質や加工方法を選定してください。小さな部品でありながら、機器の信頼性や製品のコストに大きく影響する重要な要素となります。


小型・薄板バネ製作のことなら「こだま」へ

創業して50余年。板バネに関する様々な製品に携わってまいりました。
板バネはもちろん、社内と独自の製造ネットワークにより金属の溶接、切削までを一貫して製作致します。

全てのご相談にお応えできるわけではありませんが、できる限りのお力添えをさせて頂きます。

板バネの事例写真


1)バネ(ばね)用ステンレス鋼帯(SUS-CSP)

ステンレス系の薄板・板金パーツや、ステンレス系板バネにはSUS304-CSPが最もよく利用されていますが、板バネにはバネ特性の低い順に1/2H,3/4H,Hと一般的には、3段階で、用途に応じて使用されています。

シムに使用する材料としてもSUS304-CSPが一般的で、2B材に対し材料費はある程度高くなりますが、板厚精度が高いことから、ご指定の無い場合弊社ではCSP材を使用しています。
また、SUS304 CSPよりさらに高いバネ特を要する板バネには、SUS301 CSPを使用しています。
SUS301もSUS304と同じくバネ特性は一般的に3段階で用途に応じて利用されています。

1. SUS304-CSP
ステンレスのバネ材の中でも最もよく使用される材質です。構造用の材料としては、2Bがよく使われていますが、より冷間圧延されたCSPは硬度が高く、板厚精度も高い材料です。
2. SUS301-CSP
SUS304よりも硬度の高い材料で、ほとんどが板バネ用として使用されます。
3. SUS316(L)-CSP
SUS304よりもさらに耐食性に優れた材料です。海水などの腐食しやすい悪環境や食品製造機器などに使われています。
4. SUS430 CSP
磁性のあるステンレスで、シンクなどに使用されている材料ですが、SUS304よりも耐食性に劣ります。t0.2以上は基本的に2Bですが、t0.1以下はCSP材になります。

詳しくはこちらから

2)バネ(ばね)冷間圧延鋼帯<SK材と熱処理材(焼き入れリボン鋼)>

鉄系板バネとしてはSUP材となりますが、薄板バネ材としては入手困難な板厚もありますので、弊社ではお客様ご承諾の上、類似材として曲げ成形の多い板バネにはSK材(生材)を使用し、成形後焼き入れ焼き戻しの処理を行い、主に平板の形状カットのみの板バネには焼き入れリボ鋼をよく使用しています。

Sk材とはバネ用炭素鋼帯の一種で、焼入れリボン鋼とはバネ用炭素鋼帯に熱処理(焼入れ焼戻し)を施して製造される焼入鋼帯で、主に薄板バネや、ゼンマイバネ、刃物に使用されています。

詳しくはこちらから

3)銅・銅合金・銅合金バネ材

1.りん青銅・バネ用リン青銅板(C5191P・C5210P等)
市場の通電性重視の製品にはC5191がよく利用されていますが、バネ性を要する接点・端子・板バネ製等にはC5210が利用されています。
2.ベリリウム銅板(C1720P等)
リン青銅バネ材より高性能なバネ特性を必要とする場合C1720P(バネ用ベリリウム銅)がよく利用されています。用途としては、携帯電話部品を始め、ブラシ、コネクタ、接点、電気機器用薄板バネ部品などによく用いられます。
3.洋白(C7521,C7701) 
洋白(C7521)は耐食性に富みシールドケースなどに利用され、優れた強度とバネ特性(C7701)から電気機器材料として用いられています。また銀白色の美しさから装飾用等にも広く用いられています。
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