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薄板金属の適切な溶接方法

2016年05月14日

金属製品の企画・開発段階で、どうしても生じるのが「接合」になるかと思います。
「接合方法」としては、カシメのような機械的締結や、「溶接」での接合となりますが、
ここで、薄板金属の溶接方法について、t1.0以下のエリアに絞って、
現場視点で解説してみたいと思います。
(現場視点:コストも考慮した経験値)

ひとことで薄板金属の溶接といっても、材質、板厚、仕様によって、
工法の選択を行わなければなりません。
ただ、溶接ができればいいという訳ではなく,現実的なコスとも考慮して,
板厚に分けて、私見として解説したいと思います。
点溶接、全周溶接でも異なってきますが、「接合」という視点で、
下記表として、評価してみました。

接合工法 t1.0~t0.3 t0.3~t0.03
抵抗溶接
溶融溶接 レーザー溶接
電子ビーム溶接
アーク溶接
固相接合 摩擦圧接
拡散接合
ロウ接 ロウ付け

◎の溶接方法は、難易度も低く、比較的低予算で加工が可能ですが、
は、精度の高い治具が必要となり、予算的に高額となります。
△は、ほぼ選択エリアからは外したほうがいいでしょう。

t1.0~t0.3は、難易度も低く溶接方法の幅は広がりますが、
t0.3~t0.03は、溶接しようとするワークそのモノの加工精度、
ワークをセットする治具精度が要求され、溶接方法によっては、
難易度が非常に上がります。

では、◎の溶接方法はというと、
全周溶接となるとアークに絞られ難易度も上がり、機械的要素が必要となりますが、
点溶接で、接合として満たされるものであれば、ベストな選択となります。

DPP_0037.JPG
     アークスポット溶接


また、抵抗溶接の特徴としては、薄板金属の重ね合わせという条件では、
スポット溶接プロジェクション溶接として、ローコストで接合の工夫が、
可能です。

10.jpg IMG_2572.JPG
スポット溶接 プロジェクション溶接

では、抵抗溶接が、なぜ薄板金属の接合に適しているのかですが、
大きな要素としては、「接触溶接」です。
レーザー溶接、電子ビーム溶接、アーク溶接は、「非接触溶接」として、
溶接するワークに電極等が、直接触れることなくビームを放射・照して、
溶接を行うので、治具でワークを固定しなければなりませんが、
抵抗溶接の場合、電極にワークを挟み込んだ状態で、溶接を行いますので、
治具費用は安価で製作することが可能です。

また、電源となる機種も、機械容量、様式等、板厚・工法に合わせた
豊富な種類が存在し、薄板金属溶接の仕様による、方向付けが決まれば,
あとは、適切な機種を選ぶだけとなります。

最近の展示会などでは、ファイバーレーザー溶接を始め、高額な機種が目立って
いますが、ほとんどが専用機的なものとなり、薄板金属の溶接接合としては、
工法の工夫で溶接エリアの広がる抵抗溶接が、ワークに与える負荷や、コストにおいても
最も適した溶接方法だといえます。

 

よく聞かれるので、少しだけ宣伝です。

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※薄板金属溶接のコンサルティングから、溶接機の導入サポートまで行っています。
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